APIクライアント

APIクライアントを活用することで、APIの提供者と利用者は、APIの探索・テスト・デバッグをよりスムーズかつ効率的に行えるようになります。

工具が並んだペグボードを見ているPostmanaut。イラスト。

APIクライアントとは?

APIクライアントは、APIの探索・テスト・デバッグを効率化するための開発ツールです。従来、APIを呼び出すには多くの専門知識が必要でした。たとえば、APIの利用者は、プログラミング言語を理解しているだけでなく、APIのフレームワークやプロトコルを把握し、レスポンスを解析できなければなりません。このような時間のかかるプロセスは、APIの開発や統合の妨げとなるだけでなく、技術的な知識が少ない人々がAPIに関わることを難しくしていました。APIクライアントはこうした複雑さを抽象化し、API関連業務への参入障壁を下げるとともに、開発者が大局的な目標に集中できるよう支援します。

ここでは、APIクライアントがAPIファーストなチームにとって、品質を維持しながら迅速に反復開発を行うためにどのように役立つかを紹介します。また、提供者と利用者がAPIクライアントを使ってワークフローを改善する一般的な方法を解説し、PostmanのAPIクライアントが業界標準のツールとされる理由についても取り上げます。

なぜAPIクライアントがAPIファースト戦略に不可欠なのか

Postmanの2022年「State of the API Report」レポートによると、APIファースト掲げる組織が増加しています。これらの組織は、社内外のサービスをAPI経由で連携しながらアプリケーションを構築しており、APIの品質・使いやすさ・パフォーマンスが、これまで以上に重要になっています。この傾向は、アジャイル開発手法の普及とも重なっています。アジャイル開発では、チームが1日に複数回、小規模なコード変更をデプロイすることも一般的で、短いサイクルで素早くソフトウェアを更新していくことが重視されます。APIクライアントを使えば、こうしたアジャイルな開発ペースに対応しながら、高品質なAPIの開発・利用が可能になります。さらに、APIクライアントはビジネスアナリストやプロダクトマネージャーのような非開発者でも扱いやすいため、エンジニア以外のメンバーもAPI関連の作業に参加しやすくなります。

また、APIファースト戦略が広まるにつれて、WebSocket、gRPC、GraphQLといった新しいAPIアーキテクチャやプロトコルの採用も進んでいます。これらの技術は、双方向のデータストリーミングや複数のデータソースとの統合など、現代的なユースケースに対応していますが、使いこなすには一定の学習コストがかかるため、経験豊富な開発者にとっても負担になることがあります。APIクライアントを使えば、どの開発者でも新しいフレームワークやプロトコルにすばやく慣れることができ、特にオンボーディング時にはその効果が大きくなります。


WAPIクライアントの主なユースケースとは?

APIクライアントは、提供者と利用者の双方にとって、APIライフサイクル全体にわたる重要なワークフローを効率化するツールです。主なユースケースは以下のとおりです。

探索

利用者がサードパーティAPIを自社サービスに組み込む前に、その機能が要件を満たすかどうかを評価する必要があります。特にドキュメントが最新でない場合、この評価は難しくなります。APIクライアントを使えば、開発者は多くの時間や労力をかけることなく、新しいAPIを試すことが可能です。たとえば、複雑なAPIリクエストを数秒で定義・実行し、そのレスポンスを同じ画面で確認できます。パラメーター、ヘッダー、リクエストボディを柔軟に調整し、異なる入力による挙動を把握することも容易です。もしそのAPIが要件に合わなければ、パブリックAPIカタログに戻って探索を再開できます。

テスト

テストはAPIライフサイクルにおいて不可欠なプロセスであり、提供者が意図した機能を継続的に検証し、問題が発生した際には直ぐに対処することを可能にします。APIクライアントがなければ、テストは煩雑で手間がかかり、ヒューマンエラーのリスクも高まります。たとえば、あるリクエストが前のリクエストのデータを必要とする場合、こうした複雑なワークフローは高度なツールがなければテストが困難です。APIクライアントを使えば、リクエスト間のデータの受け渡しや、テスト環境ごとの変数保存も簡単です。作成したリクエストは保存して再利用できるため、自動テスト戦略の土台を築くことができます。

デバッグ

APIテストによって開発段階で多くの問題を防げますが、本番環境でのトラブルを完全に避けることはできません。SLAの維持やユーザー離れを防ぐには、素早い対応が不可欠です。しかし、デバッグ環境で本番環境の条件を再現するのは容易ではありません。APIクライアントを使えば、インシデント対応チームが異なる環境間のレスポンスを比較でき、問題の範囲をより正確に把握できます。また、組み込みの可視化ツールを使って複雑なレスポンスボディを解析できるため、対応速度が向上し、平均解決時間(MTTR)の短縮にもつながります。


なぜPostmanがAPIクライアントとして選ばれるのか?

PostmanのAPIクライアントは、RESTGraphQLSOAPWebSocketgRPCに対応しており、Postman APIプラットフォーム全体と緊密に統合されています。API関連作業に不可欠な豊富な機能を備えており、今日の業界標準ツールとして広く採用されています。Postmanを使えば、以下のようなことが可能です。

  • 複雑なリクエストの定義し送信する:コマンドライン上でAPIコールを手動で呼び出す代わりに、Postmanコレクションを使えば、複雑なリクエストも直感的に定義・実行・保存可能できます。このコレクションは、エンコードされたデータ、Rawデータ、マルチパートのデータ(boundaryで区切られた部分)、バイナリデータを含むリクエストボディに対応しており、OpenAPI、RAML、WADLなどの幅広いAPIスキーマ形式からワンクリックで生成できます。
  • レスポンスを検査し可視化する:Postmanを使うと、ステータスコード、レスポンスタイム、レスポンスサイズを一目で確認でき、自動言語検出、リンクと構文のハイライト、検索、テキスト整形を使って、より深いレベルでレスポンスボディを検査できます。さらに、Postman Visualizerを使って、解析したレスポンスデータを可視化し、他のユーザーとスムーズに共有できます。
  • 変数を作成しスコープを管理する:Postmanでは、ワークスペース、コレクション、環境ごとに定義した変数を使用できます。こうした変数は、任意のリクエストのURL、ヘッダー、ボディで使用でき、手動入力によるヒューマエラーを防ぎ、異なる環境でリクエストを簡単に実行できます。
  • 認証を管理する:Postmanでは、OAuth 2.0、AWS Signature、Hawk Authenticationなど、いくつかの認証プロトコルを組み込みでサポートしており、ユーザーが迅速かつ安全にAPIにアクセスできます。また、サーバーから返されたクッキーをキャプチャし、後続のリクエストで再利用することができます。さらに、ドメインごとにSSL証明書を表示・設定することができます。
  • 手動またはスケジュールに基づきAPIをテストする:Postmanのコレクションランナーを使えば、複数のリクエストを連携させて、APIライフサイクルのどの段階でも複雑なワークフローをテストできます。テストは、手動実行はもちろん、スケジュールによる自動実行やCI/CDパイプラインの組み込みも可能です。問題を引き起こす変更をすぐに見つけたり、プロダクション環境で起きた問題の原因を特定したりすることができます。これにより、本番環境での不具合のデバッグや、破壊的変更(breaking changes)の早期検知が容易になります。

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APIアイコンのまわりで踊るPostmanautたち。イラスト。
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