APIテスト

APIテストによって、チームがAPIのエンドポイント、メソッド、統合が期待通りに機能しているかどうかを確認する方法をご紹介します。

タッチスクリーンを操作しているPostmanautたち。イラスト。

APIテストとは?

APIテストとは、APIが期待どおりに動作していることを確認するプロセスです。APIテストにはいくつかの種類があり、それぞれがAPIの機能、セキュリティ、パフォーマンスの信頼性を維持するうえで重要な役割を果たします。開発者はAPIテストを手動で実行することも、APIテストツールを使って自動化することも可能です

従来、APIテストは開発フェーズの最後に実施されていましたが、現在ではAPIライフサイクルの早い段階でテストを実行するチームが増えています。「シフトレフト」として知られるこのアプローチは、問題が発生した直後に検出して修正できるようにすることで、迅速なイテレーションをサポートします。

ここでは、APIファーストの世界におけるAPIテストの役割について説明し、APIテストとAPIモニタリングの関係を明確にします。また、最も一般的なAPIテスト手法とベストプラクティスについても解説します。最後に、Postman APIプラットフォームがチームの独自のニーズを満たす効果的なAPIテスト戦略の実装をどのように支援するかについて説明します。

APIファーストの世界でAPIテストが重要な理由とは?

今日のソフトウェア環境は非常に競争が激しく、ユーザーは信頼性の低いアプリケーションを以前にも増して容認しなくなっています。アプリケーションのAPI層で問題が発生すると、ユーザーにエラーや遅延が発生し、顧客の信頼を損ね、解約(チャーン)を招き、ビジネスにも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、開発チームには、常に安定して高いパフォーマンスを発揮できるAPIを提供することが求められています。

こうした課題に対処するため、多くのチームがAPIファースト開発モデルを採用しています。このモデルでは、アプリケーションを内部および外部のサービス群として設計・構築し、それらをAPIを通じて提供するという考え方を取ります。APIはインフラストラクチャの重要な構成要素と見なされるため、APIの品質は最優先事項として扱われます。APIテストは、このAPIファーストなアプローチにおいて中心的な役割を果たします。チームは、シームレスなデジタル体験を実現する過程で、エンドポイントの品質、健全性、パフォーマンスを継続的に検証することができます。


APIテストとAPIモニタリングの関係とは?

APIテストとAPIモニタリングは、どちらもAPIの信頼性とパフォーマンスを確保することを目的としていますが、通常、APIライフサイクルの異なる段階で実施されます。APIテストは開発段階で行われ、その主な目的はチームが本番環境に到達し、ユーザーに影響を与える前に問題を発見することです。一方、APIモニタリングは同じテストロジックを使用することがありますが、APIが本番環境にデプロイされた後に実施されます。APIモニタリングでは、APIのテレメトリーデータを収集し、視覚化することも含まれ、チームはこれを用いて履歴分析を行い、長期的なパフォーマンスの傾向を浮き彫りにすることができます。一方で、APIモニタリングは本番環境にデプロイされた後に実施されるもので、テストと同様のロジックを活用することもありますが、それに加えてテレメトリーデータの収集や可視化も行います。これにより、チームは履歴分析を通じて長期的なパフォーマンスの傾向を把握し、信頼性の維持や改善につなげることができます。


さまざまなタイプのAPIテスト

APIをテストする方法にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる目的と役割があります。ここでは、代表的な4つのアプローチを紹介しますが、各カテゴリには、チームのニーズに応じた柔軟な応用やカスタマイズの余地があります。これらを組み合わせることで、自社に最適なAPIテスト戦略を構築できます。

コントラクトテスト

APIコントラクトは、APIが提供すべき機能を人間にも機械にも読み取れる形式で記述したものです。各リクエストとレスポンスの構造や内容を定義する、唯一の信頼できる情報源として機能し、提供者と利用者の間で交わされるサービスレベル契約(SLA)の基盤ともなります。APIコントラクトテストでは、リクエストおよびレスポンスの内容と形式をチェックすることで、新しいリリースがコントラクトに違反しないことを確認します。

ユニットテスト

APIユニットテストは、特定のリクエストに対して、単一のエンドポイントが正しいレスポンスを返すかどうかを確認するプロセスです。たとえば、オプションのパラメータが正しく処理されているか、あるいは無効なリクエストが送信された際に適切なエラーメッセージが返されるかといった点を検証します。

エンドツーエンドテスト

ユニットテストが開発者に対して個々のエンドポイントの動作を検証する手段であるのに対し、エンドツーエンドテストは、複数のエンドポイントやAPIをまたぐ重要なユーザーフローを検証するために使用されます。エンドツーエンドAPIテストでは、一連のリクエストを連携させて実行し、それぞれが正しく動作しているかを確認します。これにより、チームはユーザーの操作より先に、複雑なワークフロー上の潜在的な問題を特定できます。

負荷テスト

API負荷テストは、ピークトラフィック時においてもAPIが信頼性が高く動作するかどうかを検証するために実施されます。このテストでは、テストツールを用いて大量のリクエストをシミュレートし、応答時間やエラー率を測定します。製品のローンチ前や年次セールなど、負荷の急増が予想されるタイミングで特によく活用されます。

セキュリティテスト

APIセキュリティテストは、API内に存在するセキュリティ脆弱性を特定し、解決することを目的とした検証プロセスです。このテストでは、不正アクセス、データ侵害、インジェクション攻撃など、重大なセキュリティリスクを引き起こす可能性のある潜在的な弱点を検出します。

統合テスト

API統合テストは、システム内の異なるコンポーネントやサービス同士が互換性を保ちながら連携できるかを確認するための重要なステップです。APIに仕様変更や機能追加があっても、相互に安定して通信し、データを正確かつ効率的にやり取りできるかどうかを検証します。

機能テスト

API機能テストは、APIがあらかじめ定義された要件を満たしているかどうかを確認するためのテストです。このテストでは、APIに対して特定のリクエストを送信し、そのレスポンスを分析します。実際の結果と期待される結果を比較することで、APIが設計どおりに正しく動作しているかどうかを検証します。

APIテストの例とは?

APIテストをより具体的に理解するために、地元の医師との予約や検査結果の確認ができるヘルスケアアプリを例に考えてみましょう。このアプリは、APIを通じてヘルスケアプロバイダーのシステムと連携し、ユーザーが予約の空き状況を確認したり、予約をリクエストしたり、医療結果にアクセスしたりできるように設計されています。

まず重要なテストのひとつは、アプリがヘルスケアプロバイダーのスケジューリングシステムと適切に連携し、正常に動作するかどうかを確認することです。たとえば、ユーザーが日付と時間を選択した際に、そのスロットが空いているかどうかを即時に確認し、空いていれば予約を確定し、空いていなければ代替候補を提示できることが求められます。

もうひとつの重要なテストは、機密性の高い医療データが安全に送信されるかどうかを検証することです。APIは、検査結果をユーザーに安全に表示し、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐ必要があります。この検証には、暗号化方式のチェックに加え、すべてのデータ通信が、医療情報の保護を定めたHIPAA規制に準拠していることを確認することが含まれます。

こうしたテストを通じて、アプリはユーザーにとって使いやすく、かつヘルスケア業界で求められる厳格なセキュリティ基準を満たしていることが保証されます。

APIテストで見つかる一般的なバグとは?

APIテストでは、さまざまなバグや問題が明らかになります。中でもよく見られるものには、以下のような例があります。

  • 不正確なデータフォーマット:APIテストによって、レスポンスが誤った形式(たとえば、JSONではなくXML、またはその逆)で返されるケースが判明します。これにより、クライアントアプリケーション側で解析エラーが発生する可能性があります。
  • 欠落したデータまたはパラメータ:APIテストでは、API認証や認可に関する問題(APIキー、トークン、または権限の不適切な処理など)を明らかにします。これにより、不正アクセスやサービス拒否(DoS)のリスクが高まります。
  • パフォーマンスとスケーラビリティの問題:API負荷テストを通じて、APIが高負荷時にも適切に動作し、スケールできるかを検証できます。問題がある場合、レスポンスの遅延、タイムアウト、サービス中断などを引き起こす恐れがあります。
  • 並行処理の問題:APIテストでは、実装における状態やスレッドの問題を検出できることがあります。これらは予測不能な動作やデータの破損といった深刻な障害の原因となります。
  • セキュリティの脆弱性APIセキュリティテストは、暗号化の欠如、機密情報の露出、レート制限の不備などのセキュリティ上の欠陥を明らかにするのに役立ちます。また、入力データの不適切な検証によって引き起こされるSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった攻撃のリスクも特定できます。
  • 互換性の問題:APIテストを通じて、新しいAPIバージョンの更新によって、既存のクライアントアプリケーションとの互換性が失われる場合があることを把握できます。これにより、アプリケーションの一部機能が動作しなくなるといった問題を事前に検出することが可能です。
  • 統合の問題:API統合テストによって、APIが他のシステムやサービスと正しく連携できていないケースが明らかになります。これにより、データの不整合や相互運用性の問題といった統合上の不具合を検出できます。
  • Cross-Origin Resource Sharing(CORS)の設定ミス:APIテストは、不適切なCORS設定を特定するのにも役立ちます。こうした設定ミスがあると、クロスオリジンリクエストが失敗し、クライアント側での動作不良やエラーの原因となります。

APIテストの利点とは?

APIテストは、現代のソフトウェア開発において極めて重要な役割を担っており、その価値は非常に大きいと言えます。主な利点には以下のようなものがあります。

  • 品質保証:APIテストにより、チームはAPIが期待どおりに動作しているかを継続的に検証できます。これにより、ユーザーの信頼を維持し、ビジネスの評判を守ることができます。
  • 早期の問題検出と解決:APIテストにシフトレフトのアプローチを採用することで、問題が発生した直後に素早く特定・修正できます。これにより、開発プロセスの予測性が向上し、スケジュールどおりにリリースするための確実性が高まります。
  • リソースの節約:APIテストの自動化を進めるチームが増えており、その結果、テストにかかる時間を短縮し、チームメンバーがイノベーションや戦略的な開発に集中できるようになります。
  • 迅速な反復:多くのチームは、CI/CDパイプライン内でAPIテストを実行しています。これにより、本番環境にコードが到達する前に、すべての変更が自動的に検証されます。このアプローチは、バグやリグレッションのリスクを低減しつつ、より頻繁なリリースを可能にします。

APIテストのベストプラクティスとは?

効率的で持続可能なAPIテスト戦略を実装するには、チームが従うべきいくつかのベストプラクティスがあります。これらのベストプラクティスは次のとおりです。

専用のテスト環境を作成する

変更を本番環境に反映する前に、隔離された専用の環境でAPIテストを行うことが不可欠です。このアプローチにより、問題を限定的に把握でき、ユーザーへの影響やダウンタイムを未然に防げます。テスト環境はできる限り本番環境と同じ条件を再現すべきですが、必要に応じて安全に操作・置換可能なモックデータを用いるとよいでしょう。

APIテストを自動化する

手動テストはデバッグに有効ですが、自動化によってテストの体系化と網羅性の向上が図れます。人的ミスのリスクも抑えられます。チームはさまざまなツールを使ってテストスイートを構築し、特定のタイミングや頻度、あるいはコミットやプッシュのたびにCI/CDパイプラインで自動実行するよう設定するのが理想的です。

APIライフサイクル全体でテストを実行する

開発完了後だけにテストを実施する従来の手法では、問題が発見されにくく、修正が難航する可能性があります。そのため、APIライフサイクルのあらゆる段階で適切なテストを行うことが推奨されます。たとえば、コントラクトテストは設計段階において作成し、今後のすべての変更に対して再実行されます。一方で、ユニットテストは開発中およびCI/CD実行時に繰り返し実施されます。こうした「早期かつ頻繁なテスト」により、潜在的な問題を迅速に発見・修正できます。

再利用可能なサブテストを作成する

すべてのAPIエンドポイントには固有の役割があるため、それぞれに合わせたカスタムロジックでテストを行う必要があります。とはいえ、すべてのエンドポイントに共通して適用できるルールも存在します。たとえば、すべてのリクエストが一定時間以内にレスポンスを返すこと、すべてのレスポンスがJSON形式であることなどです。こうした共通ルールを都度実装するのではなく、テストスイート全体で再利用できるサブテストとしてまとめておくと効果的です。このアプローチにより、人的ミスのリスクが軽減され、すべてのエンドポイントに対するテストの一貫性が保たれます。

テストを整理する

APIが成長し、仕様変更が繰り返されるにつれて、テストスイート全体を整理された状態に保つことがますます重要になります。そのためには、論理的かつスケーラブルなテスト構成を採用することが欠かせません。たとえば、各テストに目的ごとのタグを付けておくことで、関連するテストだけを一括実行しやすくなります。また、各APIリソースごとに独立したテストスイートを作成し、ユニットテストとエンドツーエンドテストは分離して管理するのが効果的です。このようにテストを体系的に整理しておくことで、ロジックの重複や古いテストの放置を防ぐことができ、新しく参加したエンジニアのオンボーディングもスムーズに進められるようになります。

APIテストの未来とは?

Postmanの「State of the API report」によると、開発者やプロダクトマネージャーをはじめとする技術系のステークホルダーが、API関連業務に費やす時間が増加傾向にあります。この傾向は、APIの重要性が今後さらに高まり、それに伴いAPIテストの役割も企業のデジタル戦略においてますます大きくなっていくことを示しています。APIテストがチームのワークフローにより深く組み込まれるにつれて、今後はテストの自動化がさらに進み、APIセキュリティテストへの注目が一層高まっていくと考えられます。また、組織全体でテスト手法やプロセスを標準化する動きも強まっていくでしょう。


APIテストに関するその他の一般的な質問

APIテストを始めるために何が必要ですか?

APIテストを開始するには、利用可能なエンドポイント、パラメータ、メソッドに関する詳細情報を含むAPIの仕様書やドキュメントが必要です。また、テストロジックに組み込むための一般的なユースケースのリストと、本番環境にできるだけ近い構成を再現したテスト環境も用意しておくとよいでしょう。さらに、PostmanのようなAPIテストツールを使用すれば、テストの効率化に加えて、自動化やチームでの共同作業もスムーズに行えます。

APIテスト自動化はどのように適合しますか?

APIテスト自動化とは、事前に設定したタイミングや頻度、あるいはCI/CDパイプラインの中でAPIテストを自動的に実行する仕組みを指します。これにより、テストの効率が向上し、人的ミスのリスクが軽減され、チームは迅速かつ自信を持って開発を進めることが可能になります。

APIテストに必要なツールは何ですか?

APIテストに必要な具体的なツールは、対象となるAPIのユースケースやアーキテクチャ、プロトコルによって異なります。とはいえ、ほとんどのチームにとって共通して必要となるのは、PostmanのようなAPIクライアント、Visual Studio Codeのようなコードエディタ、そしてJiraのようなコラボレーションツールです。

組織にAPIテストを導入するにはどうすればよいですか?

組織的にAPIテストを導入するには、慎重な計画と段階的な取り組みが求められ、一夜にして実現できるものではありません。まずは、関係するステークホルダー、プロジェクトの目標、スケジュール、必要なリソース、そして期待される成果を明確にすることから始めましょう。あわせて、どの種類のテストを実施するか、どのツールを使用するかも検討する必要があります。チームが実際にテストを作成し、テスト環境を整備した後は、その取り組みがどのような効果をもたらしているかを継続的にモニタリングし、改善の余地がないかを見極めていくことが重要です。

APIテストにPostmanを使用する理由とは?

Postman APIプラットフォームには、テストワークフローを効率化し、APIライフサイクル全体を通じて問題を早期に発見できるよう支援するさまざまなAPIテスト機能が備わっています。Postmanを使用すれば、次のようなことが可能になります。

  • 事前設定されたコードスニペットを使用して任意のAPIをテストする:Postmanには、チームがAPIのパフォーマンス、信頼性、動作を簡単に検証できるようにする、JavaScriptベースのコードスニペットライブラリが用意されています。これらのスニペットは、REST、GraphQL、SOAP、gRPCなど、さまざまなAPIアーキテクチャに対して実行可能です。
  • 複雑なエンドツーエンドワークフローを検証する:チームは、Postmanのコレクションランナーを使って複数のリクエストを特定の順序で実行し、その結果をログに記録できます。これにより、ビジネス上重要な利用シナリオやユーザー操作の流れを対象としたテストスイートを構築することが可能になります。
  • Postman Cloud上でテスト実行を自動化する:Postmanを使えば、ユーザーはテストを指定した時間や頻度でスケジュール実行でき、テストが失敗した場合には自動で通知を受け取れます。これらのテストはPostmanのインフラストラクチャ上で実行されるため、ローカル環境のリソース不足による失敗を心配する必要はありません。
  • CI/CDパイプライン内でAPIテストを実行する:チームは、NewmanPostman CLIを活用して、CI/CDパイプライン内でコレクションやテストを自動的に実行できます。これにより、本番環境での動作に影響を及ぼす破壊的な変更を未然に防ぎ、後方互換性の維持に役立ちます。
  • テスト結果をモニタリングし、バグをトラブルシューティングする:Postmanユーザーは、Postman Consoleを使ってテスト失敗の原因をデバッグできます。これにより、ヘッダー、証明書、リクエスト、レスポンスなど、すべてのネットワーク呼び出しを詳しく確認することが可能です。また、手動・自動いずれのテスト実行結果もモニタリングでき、レポートにアクセスすることで、テスト結果の傾向を把握できます。
  • 専用のテスト環境を作成する:Postmanでは、環境レベル変数に値を保存でき、それらは任意のリクエストのURL、ヘッダー、本文内で使用できます。これにより、コードを本番環境にデプロイする前に、専用のテスト環境で安全に自動APIテストを実行することが可能になります。
  • Postman APIテストをインシデント対応ワークフローに組み込む:Postmanは、DatadogNew RelicOpsgenieなどのサードパーティ製モニタリング/インシデント対応ツールと統合できます。これらの連携により、Postmanのテストデータを活用して、既存のインシデント対応フローを強化することができます。

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APIアイコンのまわりで踊るPostmanautたち。イラスト。
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